紙はくろやぎが食べる。

ゆっくりと更新して行きます。ただの自己満足です。

ダルそうな茶髪の人

ラズリがなんか黒い笑みを浮かべていた気がするが、まぁ気のせいだろうと思いながら廊下を歩いてた時前方にサファイアが見えた。赤いずきんがよく似合っている。


「どうしたの?サファイア?」

俺が呼びかけるとサファイアは一瞬ビクっと体を跳ねらせこちらを勢いよく向いて俺だと認識すると泣きそうな顔で話した。

「ルビーがいなくなったの…あの子人狼さん見るとすぐ追いかけちゃって、それで私、私……」

ルビーっていう子はサファイアの双子の妹だ。でも暴力的だから、俺は苦手だ。人狼さんっていうのは、サファイアとルビーをいつも弄っている人らしい…狼の耳をいつも隠しているみたいだ。実際に俺は見てないし会ったこともないから分からないけど…

「迷子になったんだね…えっと…一緒に探したいところだけど…俺日直なんだよね……ごめん‼︎」

「…大丈夫‼︎ラピスと話したらちょっと元気が出たし‼︎ありがとうラピス」

「本当にごめんね。」

そう言って走って教室に向かおうとするとサファイアは俺に向かって手を可愛らしくひらひらと振ってくれたから、俺も手を振り返した。

教室に着くと教卓に先生に頼まれていたクラス分のノートが置いてあった。結構重くて大変そうだから、もう一人の日直に頼もうとした。でも他の人と喋るのは緊張する。
勇気を出して思いっきり言おう。

「えっと…えっと…ノート運び…手伝ってくふぁさい‼︎」

自分では上手く言えたと………思う。
……返事がない。一体どうしたんだろう

「……………寝てるし」

男の人は、イヤホンをつけて幸せそうな顔で寝ていた。イヤホンから曲が漏れて聞こえるのはクラッシックだろうか。どこかで聞き覚えがある曲だった。あーあ、せっかくあまりない勇気を絞って話しかけたのに…相手が寝てちゃなー…

「ゔうっ…ちょっと…どころじゃないな。かなり怖いけど起こすしかないよね…あのー起きてください。手伝ってくださいーっ」

ゆさゆさと体を揺らして起こしたけど反応がない。…まさか…⁉︎

「死んでるんですか⁉︎…手が冷たいし⁉︎あわわわっ‼︎どうしようどうしよう⁉︎」

俺がわたわたしていると、さっきまで寝ていた男の人はイヤホンを片方外して起き上がっていた。

「……君、うるさい。静かにしてよ。俺は眠いの」

生きていて良かったとホッとした。男の人は、茶髪で、片方目が隠れていて、紫色の瞳だった。

「ああ…ごめんなさい。…じゃなくて‼︎ノート運び手伝ってくれませんか?」

「……ノート?なんで俺が…ああ、そういえば今日俺、日直だったな…めんどくさい」

「そんなこと言わないでください…」

「…まったく、めんどくさい。しょうがない。手伝ってやるから、早くして。」

「はっ⁉︎はい‼︎」

結構いい人なのだろうか?俺が半分ノートを持つと茶髪の人は残り半分をじーっと見つめて一冊だけ残してノートを持った。

「あれ?一冊残ってますよ…⁉︎」

茶髪の人はノートを俺の持っていたノートの上に積み上げた。

「まってください…これじゃ頼んだ意味ないじゃないですか⁉︎」

そして茶髪の人は一冊だけ持った。

「……いざ、職員室にしゅっぱーつ」

「無視⁉︎」

やっぱりいい人っていうのは前言撤回だ。
職員室に着くと先生の机の上にノートを置いておいた。

「…疲れた……」

「こんなので疲れるなんて、ヘタレだね。」

「君は一冊しか持ってなかったじゃないですか‼︎」

茶髪の人は「はぁ…」とため息をつくとダルそうに歩いて行った。

「あ‼︎まって名前聞いていませんでしたね…えっと俺はラピスです。」

「自分の名前?……ああ、忘れた」

「はい⁉︎」

自分の名前忘れるなんて…ありえない……

「……はぁ…トリュフって呼んでよ。俺トリュフ大好きだし」

「トリュフってキノコの?」

「違う。チョコ。俺甘いもの好きだから」

トリュフさんか。甘いものが好きなんて俺と一緒だ。なんかちょっと嬉しい。仲間がいて

「トリュフさんですね‼︎よろしくお願いします‼︎」

「……トリュフでいいんだけど。あと同い年なのになんで敬語?」

「えっと…初めて話したから?」

「ふぅ…敬語とかいらないんだけど」

そうゆうとトリュフさん…じゃなくてトリュフはこちらを睨んできた。ちょっと(?)怖い…

「あうあ⁉︎ごめん‼︎今度から敬語とか使わないし、呼び捨てで言うし‼︎」

「……そう…」

トリュフが歩き出すと俺もその後をついて行った。

「あのさ…いつもイアホンつけて音楽聴いてるけど、なんの曲聴いてるの?」

パッヘルベルが作曲した、カノンっていう曲。」

「ああ‼︎カノンか‼︎どこかで聴いたことあるような気がして…」

さっき起こそうとした時、なんの曲か分からなくてモヤモヤしていた気持ちがすっかり晴れた。

「…カノンって曲、追いかけっこみたいな感じで面白い曲だよね。ほら、かえるの歌みたいにさ。」

「ああ、確かに同じ旋律が追いかけっこみたいになってるね。」

「まるで、ラピスとラズリみたい。最初に演奏した曲がラピスで、後から追っかけてきた演奏がラズリだとすると、最初に出てきたラピスの方が目立って、ラズリの存在にみんなあまり気づかなくって…ふふふっ、すっごく愉快だと思わない?」

ダルそうだったトリュフがいきなり結構長めに話したので驚いた。でも言っている意味が全然分からなかった。

「は…はい?」

「でもね、気をつけて。だんだんそれが狂い始めてるんだ。ラズリが出てきた時から少しづつ、少しづつね。…ふっ…あははっ今の君にこんなこと言っても訳分からないよね。頭の悪い君に言ってもっ…あははっ」

「頭悪っ⁉︎……いや、頭はよくないかもしれないけど…」


「……でも正しい判断によって、ラピスとラズリどちらも幸せになれるからさ、頑張ってよ。……まぁ…これを持ってなよ。何かの役に立つかもね……」

トリュフが俺の手を掴み無理やり何かを持たせた。感触は冷たくて丸いものだった。手を開いて見てみると、

「……石?」

青くて、金色があちこちに散らばっていて綺麗な石だった。見ていると吸い込まれそうなとても綺麗な石だった。

「ただの石じゃないよ。それはラピスラズリって言うパワーストーンで、持っているとね、危険を回避してくれるし、正しい判断力を与えたりすることができる石なんだ。君、優柔不断でしょ?ピッタリかと思って……」

クスクスと俺を馬鹿にするような笑い方でこちらを見てきた。

「はぁ……確かに優柔不断だけど…本当に正しい判断力を与えてくれるのかな?」

占いとか、幽霊とか、見えないものを信じるというのは昔から信じていない俺だったから、もちろんそうゆうおまじないも信じるわけなかった。

「……信じるものは救われる…だよ」

トリュフの目はさっきまでの眠そうな目じゃなくて、真面目な真剣な目をしていた。

































(そういえばラピス、君俺を起こそうとした時噛んでたよね?)

(へっ⁉︎噛んでた⁉︎本当に⁉︎……うわぁうまくいったと思ったのに……)

(……まぁどんまい……はははっ)

(絶対面白がってるよね⁉︎)